書籍「ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す」
山口周,プレジデント社,2020/12/20
第一章 私たちはどこにいるのか?
- 「物質的な貧困を社会からなくす」というビジネスの使命は、すでにほぼ達成されている。これ以上、大きな経済成長は見込めない。これを高原と表現する。
- ビジネスとは、問題の開発(=マーケティング)と問題の解消(=イノベーション)の組み合わせによって成立するので、「問題」がなくなってしまうと、仕事がなくなる。
- しかし、全ての「問題」が解決されているわけではない。ビジネスの本質を「社会が抱える問題の解決」と考えた場合、このライン(図の経済合理性限界曲線)の外側の問題は未着手になる。しかし、経済合理性を理由に、これらの問題を放置しているのだとしたら、私たちは人間性を備えた存在とはいえないのではないか?
第二章 私たちはどこへ向かうのか?
- もう解決すべき大きな問題は無いのだから、「便利で快適な世界」ではなく「生きるに値する世界」へ価値観と変えていくべき。
- 「問題の解決を担う人」と「問題の解決を望む人」のあいたに閉じた貨幣交換の仕組みに依存している限り、経済合理性限界曲線の外側の問題が解決されることはない。「第三者による贈与」の介入が必要だ。
- 例えば、Linuxは、巨大な知識と能力と時間の贈与によって成立した、工数36,000人月、8,600億円相当の大プロジェクト。その活動自体が楽しいからエンジニアたちは無償で贈与した。
第三章 私たちは何をするのか?
- 私たちの経済活動を「未来のためにいまを手段化する」というインストルメンタルなものから、「今、この瞬間の愉悦と充実を追及して生きる」というコンサマトリーなものへと転換するべき。
- このような活動を促進しようとするとき、鍵となってくるのがユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)のような経済的セキュリティネットの実装である。